【2026年9月】円安はこのまま続くのか?|貿易赤字・金利・国内投資から考える「これからの円」と60代の生活防衛

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はじめに――「円安だから円高になる」とは考えない

2026年9月、円相場を考えるうえで私が注目しているのは、「現在の円安がいつまで続くのか」という一点だけではありません。

むしろ重要なのは、

現在、円安を生み出している要因は何なのか。
そして、その要因とは別に、将来、円を買う需要を生み出す可能性があるのか。

という二つを分けて考えることです。

2026年8月の日本の貿易収支は、速報値で1兆1056億円の赤字となりました。輸入額は前年同月比28.0%増の11兆1540億円となり、原油などの輸入コスト上昇が影響しています。

一方、日本銀行は2026年9月18日の金融政策決定会合で、無担保コールレートを1.25%程度で推移するよう促す方針を決定しました。

つまり、現在の日本経済では、

円安による輸入物価上昇

と、

物価上昇を背景とした金利上昇

という、一見すると逆方向にも見える動きが同時に存在しています。

さらに政府は「責任ある積極財政」を掲げ、「危機管理投資」「成長投資」などによって国内投資を促す政策を進めています。

そこで本記事では、

①現在の円安を生んでいる要因
②国内金利・物価の変化
③国内投資が日本経済に与える影響
④海外資産から国内への資金還流という可能性
⑤これらを60代の生活・資産形成にどう結び付けて考えるか

という順番で整理します。

これは「円高になる」という予測記事ではありません。

私自身が注目しているのは、為替を一つの方向だけで見るのではなく、時間軸を分けて考えることです。


1.まず確認したい「2026年9月の円安環境」

現在の円相場を考えるうえで、まず確認しておきたいのが日本の貿易です。

財務省・税関の貿易統計によると、2026年8月の貿易収支は1兆1056億円の赤字でした。

赤字は4カ月連続となり、輸入額は前年同月比28.0%増加しています。

特に原油などのエネルギー価格上昇は、日本の輸入金額を押し上げる要因になります。

日本はエネルギー資源の多くを海外から輸入しているため、

原油価格上昇
↓
輸入金額増加
↓
企業などの外貨需要増加
↓
円相場への下押し圧力

という経路は考えられます。

ただし、ここで注意したいことがあります。

貿易赤字になったから、必ず円安になるわけではありません。

為替相場は、貿易だけでなく、

  • 日米などの金利差
  • 金融政策
  • 海外投資家の資金移動
  • 日本企業の海外投資
  • 海外から日本への投資
  • 世界経済
  • 地政学的リスク
  • 市場参加者の期待

など、非常に多くの要因によって動きます。

したがって、貿易赤字は「円安要因の一つ」として見るのが適切です。


2.日本には「貿易赤字」だけでは見えない海外収益がある

ここで視点を一段広げます。

日本の国際収支を見ると、貿易収支だけでは日本と海外とのお金の流れを説明できません。

日本企業や日本の投資家は、長年にわたって海外に資産を積み上げてきました。

そのため海外から、

利子
配当
直接投資収益
証券投資収益

などを受け取っています。

この収益を示す代表的な項目が「第一次所得収支」です。

2026年上半期の第一次所得収支は20兆4914億円の黒字でした。

ここから見えてくるのは、

「日本は貿易で赤字になったら、そのまま海外にお金が流出し続ける国なのか?」

という単純な話ではないということです。

日本は、

モノの輸出入

だけでなく、

海外に保有する資産から得られる収益

という大きな海外との資金の流れを持っています。

この視点を入れることで、円相場を見るときの景色が変わります。


3.円相場を見るうえで重要な「三つの円需要」

今回の分析で私が特に注目したいのが、「円を買う需要」です。

円高・円安を考える場合、単純に「日本が強くなるか、弱くなるか」だけではなく、

どこから円を買う需要が生まれるのか

を見ると理解しやすくなります。

私は大きく三つに分けて考えています。

① 国内経済の投資需要

日本国内で企業の設備投資や研究開発などが増えれば、国内で円資金を必要とする経済活動が増えます。

② 円建て金融資産への需要

国内金利が上昇すれば、日本国債などの円建て金融資産の利回りにも変化が生じます。

その結果、円建て資産に対する投資需要が変化する可能性があります。

③ 海外資産から国内への資金移動

日本企業や投資家が海外で得た収益を国内投資などに振り向ければ、外貨を円に戻す取引が発生する可能性があります。

重要なのは、この三つを混同しないことです。

国内投資による円需要

と

海外資産からの資金還流

は別の話です。

この区別が、今回の記事の独自の視点です。


4.日銀の利上げで何が変わったのか

2026年9月18日、日本銀行は金融市場調節方針を変更し、無担保コールレートを1.25%程度で推移するよう促すことを決定しました。

日銀は、原油高や円安などを背景に国内企業物価が高い伸びを続けていること、賃金上昇の販売価格への転嫁が続いていることなどを説明しています。

また、今後についても経済・物価・金融情勢に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく考え方を示しています。

ここで重要なのは、

「利上げ=必ず円高」ではない

ということです。

為替市場では、単純な金利の高さだけではなく、

日本と海外の金利差がどう変化するのか

が重要になります。

例えば、日本の金利が上昇しても、米国などの金利も同時に上昇すれば、為替への影響は単純ではありません。

したがって、私は「日銀が利上げしたから円高になる」とは考えません。

むしろ、

円安
→ 輸入物価上昇
→ 国内物価上昇
→ 金融政策への影響
→ 日本の金利環境の変化
→ 円建て資産の魅力の変化

という連鎖を、時間をかけて観察する必要があると考えています。


5.円安は「生活コスト」の問題でもある

ここからが「60代リスタートラボ」と今回の記事をつなぐ重要な部分です。

円安や原油高は、為替投資をしている人だけの問題ではありません。

私たちの生活にも影響します。

例えば、

円安
↓
輸入品価格上昇
↓
食品・エネルギー・生活用品などの価格上昇
↓
家計負担増加

という経路があります。

60代になると、働いて得る収入だけでなく、

  • 年金
  • 貯蓄
  • 預貯金の金利
  • 投資収益
  • 副業収入
  • 就労による収入

などを組み合わせて生活を考える人も増えてきます。

そのため、為替問題は単なる投資の話ではありません。

「これからの生活費をどう守るか」

という問題でもあります。


6.60代の再スタートと「円安」を結び付けて考える

60代から仕事を再開する場合、あるいは副業を始める場合、為替や物価の変化は無関係ではありません。

例えば、

物価上昇
↓
生活費増加
↓
必要な収入額増加
↓
再就職・副業・就労時間などを考える

という流れが生まれます。

つまり、経済ニュースを見る目的は、

「円が上がるか、下がるかを当てる」

ことだけではありません。

むしろ、

「自分の生活にどのような影響が出るのか」

を考える材料として利用することが重要です。

これは60代だけに限りません。

復職を考えている人、副業を始めようとしている人、家計を見直している人、福祉制度を利用している人などにも共通する問題です。


7.政府の「国内投資」は円相場を見る材料になるのか

2026年9月17日に政府が閣議決定した基本方針では、「責任ある積極財政」を掲げ、官民連携による「危機管理投資」「成長投資」を進める方針が示されています。

また、政府は国内投資を誘発し、潜在成長率、雇用、所得、消費、企業収益などにつなげる政策の方向性を示しています。

ここで重要なのは、

政府が投資すると、それだけで円高になる

という単純な話ではありません。

本当に見るべきなのは、

政策
↓
企業投資
↓
生産性向上
↓
企業収益
↓
雇用・所得
↓
国内需要

という循環が実際に生まれるかどうかです。

政策発表だけでは、まだ結果は分かりません。

したがって、今後は企業の設備投資、雇用、賃金、生産性などの実績を見る必要があります。


8.防衛・半導体・AI・エネルギーなどを見る理由

政府が掲げる国内投資には、経済安全保障、半導体、AI、エネルギー、造船、宇宙、量子など、さまざまな分野があります。

これらは単なる政策テーマではなく、日本国内で設備投資や研究開発が行われるかどうかという点で重要です。

例えば、

国内設備投資
↓
工場・研究施設・インフラ整備
↓
企業の生産能力向上
↓
雇用・所得
↓
国内経済

という流れが実現すれば、日本経済の構造そのものに影響する可能性があります。

ただし、ここでも注意が必要です。

政策として掲げられた分野が、そのまま株価上昇につながるわけではありません。

また、国内投資が増えれば必ず円高になるわけでもありません。

この記事では、これらを**「円高になる材料」ではなく、「今後観察するべき経済の変化」**として位置付けます。


9.私が注目する「海外資産から国内への資金還流」

今回の記事で最も独自性を持たせたいのが、この部分です。

日本には巨額の海外資産があります。

そこから得られる利子や配当などの収益もあります。

では、その資金がすべて海外に残り続けるのでしょうか。

必ずしもそうとは限りません。

仮に、

日本国内の投資環境が改善する
↓
国内企業の収益性が高まる
↓
日本国内への投資機会が増える
↓
海外で得た収益の一部を国内へ戻す動きが生まれる

ということになれば、海外資産から国内への資金移動が発生する可能性があります。

外貨を円に戻す取引が増えれば、円需要につながる可能性があります。

ただし、

第一次所得収支が黒字だから、その金額がそのまま日本へ戻ってくる

という意味ではありません。

ここは非常に重要です。

海外で得た収益が、そのまま海外で再投資されることもあります。

したがって、

「資金還流が起こる可能性がある」

というところまでが今回の分析です。


10.短期・中期・長期で円相場を見る

ここまでの内容を時間軸で整理すると、円相場を見るポイントが分かりやすくなります。

時間軸注目するもの考えるポイント
0~6か月原油価格・輸入額・貿易収支円安圧力が続くか
6~12か月国内物価・日銀政策・金利円建て資産への需要が変化するか
6~12か月国内設備投資・企業収益国内経済の投資需要が強まるか
1~2年雇用・賃金・生産性国内経済の実力が改善するか
1~2年海外収益・資金移動海外から国内への資金還流が起きるか

このように時間を分けると、

「今は円安だから、ずっと円安」

という考え方から離れることができます。

同時に、

「金利が上がったから、これから円高」

という単純な見方も避けられます。

為替は、複数の要因が時間差を持って作用する市場だからです。


11.円相場の変化を「自分の家計」に置き換える

経済分析を生活に役立てるには、最後に自分の家計へ戻す必要があります。

例えば円安が続けば、

  • 食料品
  • 電気・ガス
  • ガソリン
  • 海外製品
  • 海外旅行
  • 輸入原材料を使う商品

などの価格に影響する可能性があります。

一方、円高になれば、海外旅行や輸入品などの負担が軽くなる可能性があります。

つまり、円相場を見るときには、

投資家としての自分

だけでなく、

消費者としての自分

を見る必要があります。

これは60代の生活設計において特に重要です。

収入を増やすだけでなく、

物価上昇によって生活費がどれだけ増えるのか

を考えることも、再スタートの一部だからです。


12.資産運用では「円高・円安を当てる」より分散を考える

今回の分析から、資産運用について一つの考え方を導くことができます。

それは、

円安か円高かを完全に予測して、一方に賭ける必要はない

ということです。

例えば、原文では次のような資産配分をモデルとして示していました。

資産比率
日本株30%
外国株20%
米国債20%
日本国債20%
外国債券5%
金5%
合計100%

ただし、これは「おすすめの配分」ではありません。

年齢、収入、年金、預貯金、住宅費、医療・介護への備え、投資期間、価格変動への耐性などによって、必要な資産構成は大きく変わります。

特に60代では、老後の生活資金として近い将来使うお金と、長期運用するお金を分けて考えることが重要です。

したがって、この表は、

「円資産と外貨資産を組み合わせて、為替の方向を一つに決めつけない考え方」

を説明するためのモデルケースとして扱います。


13.60代の資産形成では「収入」も一つの資産と考える

ここは「60代リスタートラボ」らしい視点として、特に強調したいところです。

資産形成というと、株式や債券、預貯金だけを考えがちです。

しかし60代から再スタートを考える場合、

働いて得られる収入

も重要な生活基盤です。

例えば、

再就職
+
副業
+
年金
+
預貯金
+
必要に応じた投資

というように、複数の収入源を組み合わせる考え方があります。

為替や物価が変化する時代だからこそ、

「投資だけで資産を増やす」

という発想ではなく、

働く力を維持すること

も生活防衛の重要な要素になります。

これは60代だけでなく、復職を考えている人や副業を始めたい成人にも共通する考え方です。


14.この記事から私が伝えたい「三つの視点」

今回の円相場分析から、私は三つの視点を大切にしたいと考えています。

視点①「今」と「将来」を分ける

現在の円安要因と、将来の円需要を同じ時間軸で考えない。

短期では原油価格や輸入コストを見る。

中期では物価・金利・金融政策を見る。

長期では国内投資、企業収益、生産性、資金移動を見る。


視点②「経済ニュース」を生活に置き換える

円相場を分析する目的は、為替を当てることだけではありません。

食費はどうなるか。
光熱費はどうなるか。
働く必要性は変わるか。
副業を考える必要があるか。
貯蓄と投資をどう分けるか。

という、自分自身の生活に置き換えて考えることが重要です。


視点③「60代の再スタート」では収入と資産を一緒に考える

60代からの生活再設計では、

仕事
+
年金
+
貯蓄
+
投資
+
生活コストの管理

を一体として考える必要があります。

だからこそ、経済分析も「市場の話」で終わらせず、自分の生活に接続させることに意味があります。


15.今後チェックしたい5つの指標

今後、円相場を追いかけるとき、私は次の5項目を確認していきたいと思います。

① 原油価格

日本の輸入コストに直結しやすいためです。

② 貿易収支

輸出と輸入の差を見ることで、モノの取引による海外との資金の流れを確認できます。

③ 日本の物価と賃金

インフレが一時的なのか、賃金とともに持続するのかを見る材料になります。

④ 日銀の金融政策

日本の金利環境がどの方向へ変化しているのかを見る重要な材料です。

⑤ 国内設備投資・企業収益

政府の政策が実際の企業活動や国内経済に波及しているかを見るためです。

この5項目を追えば、「円高になるか、円安になるか」を当てるのではなく、

円を取り巻く環境がどう変化しているのか

を継続的に確認できます。


16.2026年9月時点での私の整理

ここまでの内容を一度整理します。

短期

原油高や輸入増加などによって、円安圧力が残る可能性があります。

中期

国内物価、賃金、日銀の金融政策、金利の変化が円相場に影響する可能性があります。

中長期

国内投資が企業収益、生産性、雇用、所得の改善につながるかが重要になります。

さらに長期

日本の海外資産から得られる収益が、国内投資などを通じてどの程度国内へ戻ってくるのかも、一つの観察ポイントになります。

つまり、円相場は、

貿易だけでは説明できない。
金利だけでも説明できない。
政府政策だけでも説明できない。

ということです。

複数の要因を時間軸に沿って観察する必要があります。


17.まとめ――円安・円高を「生活の問題」として考える

2026年9月の日本経済を見ると、円安、原油高、輸入物価上昇、国内金利の変化、国内投資政策など、複数の要因が同時に動いています。

8月の貿易収支は1兆1056億円の赤字となりました。

一方で、日本には海外資産から得られる大きな収益があります。

さらに、日本銀行は9月に政策金利を1.25%程度へ引き上げる方針を決定しました。

政府も「責任ある積極財政」の下で国内投資を促す方針を示しています。

ここから先、私が注目したいのは、

①貿易・原油価格
②国内物価・賃金
③日本の金利
④国内投資・企業収益
⑤海外資産から国内への資金移動

です。

これらがどのように変化するのかによって、円相場を取り巻く環境も変わっていく可能性があります。

ただし、

「円安だから、次は円高になる」

と決めつけることはできません。

また、

「日銀が利上げしたから、円高になる」

とも言い切れません。

為替市場は、それほど単純ではないからです。

だからこそ私は、

「現在の円安を生んでいる要因」と「将来、円を買う需要を生み出す可能性がある要因」を分けて考える

ことが重要だと考えています。

そして、この考え方は為替投資をする人だけに必要なものではありません。

円安による物価上昇は、私たちの生活費に影響します。

金利の変化は、預貯金や債券だけでなく住宅ローンなどにも関係します。

国内投資や企業活動の変化は、雇用や賃金にも影響する可能性があります。

だからこそ、「60代リスタートラボ」では、経済ニュースを単なる市場分析で終わらせず、

「60代からの再スタートを考える人の生活にどう関係するのか」

という視点まで掘り下げていきたいと思います。

60代で再就職を考える人。

副業を始めようとしている人。

働き方を見直している人。

家計を立て直している人。

そして、これからの生活設計を考えるすべての成人にとって、経済の変化は決して他人事ではありません。

円相場を当てることよりも、

変化を知り、自分の収入・支出・貯蓄・仕事・資産運用をどう調整するか。

私は、そこに経済を学ぶ実生活上の意味があると考えています。

「今の円安」だけを見るのではなく、「これから日本で何が起きるのか」を時間軸で見る。

これが、今回の円相場分析で最も伝えたいことです。

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